鏡面朝顔・夏の朝 北斎

「鏡面美人図(ほおずき)」と双璧をなす、立ち姿や鏡に写る顔をしとめる北斎の肉筆浮世絵「夏の朝・鏡見美人図」

チリチリと赤い絞り襦袢の袖から立ち上がる白い右腕の位置や形が絶妙で艶めかしい。
そして、リズミカルなかんざしの直線によるこの構図には感嘆。下唇はこの時代流行の玉虫色の笹色(緑)紅

江戸の夏には朝顔
足もとの手鏡の蓋にのせられた水鉢も美しく、それぞれ色の違う朝顔が積み上げられて水面に浮かび印象的だ。
その横には、歯磨き具(房楊枝のようだ)。朝顔は、葉も2枚重ねられ、洗顔歯磨きに関係しているのかな!
しかし、静物画としても、そうとうな構成と造形力で感服と感嘆。

緻密に描かれた格子の柄は、S字形の流麗な曲線でうねる様につつまれる。
しかし、夏なのに、かなりの重ね着ルックですね〜!

葛飾北斎 「夏の朝」86,1 x 32,4 cm 絹本着色・個人蔵
特別展「NIPPONの夏」平成20年・三井記念美術館カタログより