ヴィシュヌ立像・左巻法螺貝


東京国立博物館で「ボストン美術館・日本美術の至宝展」を観た後に、同館一階に展示されている
ヴィシュヌ立像を発見。憧れの神像に、まさかここで出会えるとは驚き。
これは、ヒンドゥー教の三大神の一人で、宇宙を守護する維持と救済の神とされ、興味深いのは、
その持物である。法螺貝やチャクラ(法輪・円盤)と棍棒、蓮華(宝珠)など。
法螺貝は、古代インドにおいて、聖者の栄光や清浄のシンボルとされており、
特に、左巻の法螺貝はパンチャジャナと呼ばれ、インドの聖貝とされる。
仏教では、「仙螺」と言われ希少価値は高い。

まさに、この法螺貝は、通常とは反対な左に巻いた螺旋をもつ希少な「仙螺(せんら)」と確認できる。


やはり左巻の法螺貝が美しい、パリの国立ギメ東洋美術館に収蔵されるヴィシュヌ立像。
制作はアンコール期(9世紀前半)とされる。


巻貝のもつ螺旋やスパイラルな形態に強く惹かれているのか、思い入れの法螺貝たち。
左は沖縄で求めたもの。その右は伊勢湾で採れ、自ら食したもの。右側二つは、チベット仏教の重要な
法具である法螺貝「トゥンカル(Dung dkar)」。
日本の山伏に欠かせない法螺貝と同じように、吹奏用として、チベット仏教の宗教儀式や戦陣に使用されている。

奥のトゥンカルは、長さ34cmあり、驚きの左巻螺旋。稀有な左巻法螺貝から作られている。